豪ドル/円相場は、7月5日の82.36円をピークに、足元では80円台中盤まで値位置を切り下げる展開になっている。不安定なリスク投資環境に一喜一憂する展開になっており、明確な方向性は打ち出せていない。6月28~29日の欧州連合(EU)首脳会合後はリスク資産買い戻しの動きと連動して豪ドルも地合を引き締めたが、ここにきて失速気味の状況にある。
7月5日に発表された5月豪貿易収支は2億8,500万豪ドルの赤字になった。4月の赤字2,600万豪ドルから急増しており、これで5ヶ月連続の赤字になる。ただ、これは鉱山投資ブームを反映して産業用機器や燃料の輸入が増えた影響が大きく、マーケットは必ずしもネガティブな数値とは考えていない。経済指標であれば、むしろ中国の6月輸入量が前年同月比+6.3%に留まったことの方がネガティブである。市場予測は+11.0%であり、予想以上に中国の需要が抑制されていることが示唆されている。インフレ指標からも、中国の需要鈍化傾向が確認でき、中国経済の減速は豪ドルの上値圧迫要因として機能しよう。
金融政策環境に関しては、7月3日のオーストラリア準備銀行(豪中央銀行)が政策金利を3.50%で据え置くことを決定しているが、当面は豪金融政策の大きな変動は想定しづらい。年内に追加利下げが実施される可能性が高いとみているが、世界経済の減速懸念が一段と強くなった際の政策カードを残した上で、様子見が当面の基本スタンスになるだろう。これは円サイドも同様であり、11~12日の日銀金融政策決定会合では、特に追加緩和策の発表などは行われない見通し。ここにきて豪金利に対する下押し圧力が強くなっていることが、豪ドル相場の上値を圧迫するが、当面はリスクオンで豪ドル買い、リスクオフで豪ドル売りという単純な相関関係に回帰する見通し。
今後1週間の予想レンジは、79.75~82.00円。